司法試験合格を目指す公務員くんのブログ

司法試験合格を目指す現役公務員のブログです。

令和2年予備試験 再現答案⑥ 民事実務 

設問1

(1)所有権に基づく妨害排除請求権としての抵当権設定登記抹消登記請求権

(2)被告は、甲土地について、別紙登記目録記載の抵当権設定登記の抹消登記手続きをせよ

(3)仮執行(民執行法23条)をすると、不動産について処分が禁止され、Cへの所有権移転登記が困難となる為、仮執行宣言の申立てを行わなかった。

(4)①令和2年5月1日、Xに対して、甲土地を売却することを合意した。

  ②本件抵当権設定登記が存在する

 

設問2

(1)抗弁として主張すべきでない。抗弁とは、①請求原因事実と両立し、②請求原因から生じる法律効果を妨げる事実で③被告が証明責任を負っている事実をいう。Bの主張は登記保持権原の抗弁に当たるが、抵当権設定を主張する為には、前提として、抵当権設定設定権者(B)の所有権を主張する必要がある。他方、請求原因では、Xは甲土地の所有権を主張しており、(設問1(4)(あ)(い))、かかる主張は、Yの主張である、甲土地がB所有という事実と矛盾する。よって、①請求原因事実と両立しないので、抗弁に当たらない。

(2)(ⅰ)①甲土地に、B名義の所有権移転登記が存在した。②Bが所有者でないということを知らなかった。

  (ⅱ)抵当権の設定を主張する者は、抵当権が担保している、被担保債権の存在を主張する必要がある。(付従性)(あ)は、YからBへの貸金債権の存在を主張するものであり、本件抵当権設定契約の被担保債権である。よって、(あ)の事実を主張した。

 

設問3

(1) Bは令和4年12月1日に貸金の一部である100万円を弁済している。債務の一部を弁済することは、自らの債務を認識していることを示すものであり、民法(以下省略)153条の承認にあたる。よって、時効が更新されるので、抗弁に当たる。

(2) Qが主張しようとした事実は、令和7年12月25日の弁済である。しかしながら令和7年12月25日は、既に時効が完成する令和7年12月1日を過ぎている。時効完成後に弁済をした者は、信義則上、時効の完成を主張できないが、かかる主張は、消滅時効の再抗弁を復活させる効果はないので、再々抗弁には当たらない。よって、主張自体失当と判断した。

 

設問4

1 Bは所有権移転登記の名義が自己にあることを理由に、所有権を主張している。しかしながら、我が国においては、登記に公信力がないので、登記の名義人が必ずしも所有者であるとは限らない。そして、本件においては、甲土地の付近に住み、料亭を営み地元でも顔が広いBを所有名義人とした方が、銀行から融資が下りやすいという事情があったため、名義人をBにした。そして、親族間では、このように、登記の名義人を便宜的に他人に移すことはよくあることである。登記名義人がBであっても、甲土地がB所有であるとはいえない。

2 争いのない証拠として、本件預金通帳が存在し、令和2年5月20日にA充てに500万円が振り込まれた旨の記載がある。そして、令和2年5月20日は、XA間の売買契約の支払日であり、500万円という額も、本件売買契約の購入額と一致している。本件売買契約以外でXがAに対して、500万円を払い込む事情はない。よって、かかる事実からXがAから甲土地を購入したことが推認できる。

3 争いのない証拠として、本件領収書がある。領収書というのは、支払いの証拠として、支払いをした者に交付される。そうすると、Xが領収書を持っているということは、Xが、固定資産税を支払ったと推認できる。そして、固定資産税は、地方税法により、土地の所有者が支払いの義務を負っている。従って、固定資産税を支払ったXは、所有者であると推認できる。

4 以上の事実により、XはAから甲土地を買ったという事実が認められる。

 

以上

 

  • 雑感

  全ての科目のなかで、民事実務が一番自信ある。設問1(3)は全く分からなかったので、適当に書いたが、これは他の受験生もかけないと思う。むしろ、本番では、この問題に時間をとられないよう、3分だけ考え、わからなかったら捨てるという戦略をとった。結果的に現場では思いつかないというか、見つけられない問題だったので、早々に次の問題に移れたのはよかったかな。

そして、一番悩んだのが、設問3の(3) これであってるのかな?死ぬほど考えて閃いたんだけど、日付の記載からして、これが正解筋難ではないかと思う。

あとは、設問4だけど、最後の設問は答練で類似問題をさんざんやったので、得意。自分でもよく書けたと思う。

これはAいっててほしい。というかこれでA取れなかったら、予備試験の解答どんだけレベル高いんだよという話になる。