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令和2年予備試験 再現答案⑩ 民法

設問1

1 BはAの代理人として本件消費貸借契約を締結したが、実際には代理権が授与されておらず、無権代理民法(以下省略)113条)であった。そのため、本件賃貸借契約は無効であり、Aは、賃貸借契約に基づく返還義務として貸金の返還を請求する必要はないとも思える。

2 しかしながら、Aは、令和2年4月10日に意識不明の状態となり、20日に本件賃貸借契約がされ、その翌日に後見開始の審判がなされた。そうすると、20日の時点で、既にAは被後見人の要件を満たしていた。そして、後見人は、被後見人の財産処分を代理できる。(859条)そこで、859条を類推適用して、Bの契約が有効とであると解せないか。
 この点、859条は、取引の安全と、被後見人の利益保護の調和の見地から、後見開始を裁判所の審判にからしめた。そうすると、後見開始は、裁判所の審判があって、初めて開始されると解する。これは、838条1項2号「後見開始の審判があったときに」「開始する」とあることからも明らかである。
 よって、859条の類推適用は認められない。

3 そうだとしても、Bは、無権代理人として、本件賃貸借契約を締結した以上、後見人の立場として、契約を拒絶することは信義則上許されず、その結果、追認(113条)が擬制され、契約は有効になるのではないか。
 この点、後見人は被後見人の財産を管理する公的な立場を有し、また、被後見人の財産管理について善管注意義務を負っている。従って、後見人は、被後見人の財産的利益を第一に考えて行動しなくてはならない。そうすると、例え、自身が無権代理人として行動したとしても、被後見人の利益の為、無権代理行為の追認を拒絶することは信義則に反しない。よって、追認は擬制されない。

4 以上から、本件賃貸借契約は有効とならず、従って、Cは貸金の返還を請求することは出来ない。

設問2

1 第1に債権者代位権(423条)により、本件売買契約を取り消すことが出来ないか

(1)Dは、Aに500万円を貸し付けているので、貸金の返還請求権という被保全債権を有する。そして、弁済期は令和5年4月末日であり、既に到来している(同条1項)

(2)本件不動産は3000万円の価値を有するが、Eは300万円を超えないと、言葉巧みにAをだまし、300万円で本件売買契約を締結した。よって、Aは詐欺に基づく取消権を有する。(96条1項)そして、被代位権利は、財産権に関する請求権をさし、取消権という形成権もこれに含まれる。よって、被代位権利が存在する。(同条1項)

(3)Aは、本件不動産以外にめぼしい財産が無く、無資力である。よって、「自己の債権を保存するため必要があるとき」に当たる(同条1項)

(4)被代位権利は一身専属に関する権利ではない。(同条1項)また、被保全債権債権は、強制執行により実現することができる(同条3項)

よって、Dは債権者代位権(423条)により、本件売買契約を取り消すことが出来る。

2 次に、詐害行為取消権により、本件売買契約を取り消せないか(424条1項)

  詐害行為取消権は、債務者が債権者を害することを知って、行為を行ったこと、すなわち詐害意思が必要である。しかしながら、AはEから騙されて、本件売買契約を締結したに過ぎず、Dへの債務を逃れる為に行った訳ではない。よって、詐害医師が認められないので、424条の詐害行為取消権は行使できない。

 

以上

 

  • 雑感

一番最後に解いた民法。正直、2通目の商法を書ききった時点で疲労困憊。時間は1時間15分くらい余っていたが、疲れすぎて、5分くらい目を閉じて休憩した。答練や模試では、3時間30分を経験済みだが、ガチンコの本番での3時間半は想像を絶する辛さ。人間は3時間30分も集中力が持たないことがよく分かった。脳が沸騰している感じでなにも考えられない状態が続いた。

 内容の方は、正直自信ない。設問1は、最初は、事務管理とか不当利得返還請求権で答案構成していたが、設問に「賃貸借契約に基づき」と書いてあったのに気づき、これはダメだと思い削除。結局、後見開始の類推適用という新しい論点を勝手に作ってしまったが、これはどうなんだろう?そして、これを書いている最中に、無権代理人と後見人の論証を思い出し、慌てて書いた。

 そして設問2、これ何を書けばよかったの?債権者代位と詐害行為取消権は普通に思いつくけど、この2つだけのはずがないと思い、必死に考えを巡らしたが、思いつか無かった。自分の中で民法は難しいというイメージが先行していたので、難しく考えすぎたのかもしれない。構成に時間を取られた分、論述はあまり良くできなかった感触。