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令和3年予備試験 商法 答案構成

設問1

 

1 Ⅽは代表権がないので(349Ⅰ)会社を代表する権限がない。→Ⅽが会社を代理して締結した契約は会社に帰属しないのが原則

2 乙社は354を根拠に甲社に本件代金を請求できないか。

(1)Ⅽは「代表取締役副社長」という「会社を代表する権限を有するとものと認められる名称」を名乗った

(2)乙社はⅭが甲社の代表者であると信じた(善意)

(3)「付した」といえるか。

 ア 354は権利外観法理。会社に虚偽の外観作出について帰責性が必要→付した言えるには、会社が虚偽の外観を作出したといえる帰責性が必要

 イ ⤵ 甲社としてはⅭを代表者に選定していない(362Ⅱ③)Bら他の取締役は知らなかった。

   Z 株式の株式8割を持つAは、Ⅽが代表者と名乗ることを了承していた。Cも株式1割を有する。→会社所有者たる株主の9割がCが会社代表者と名乗ることを認めていた +甲社においては、株主総会が開かれたことがなく、役員の選任をはじめ、経営の実質的決定はAが行ってきた。そのAがCを代表者と名乗ることを認めた。 

以上からすると、甲社が虚偽の外観を付与したと評価できる。→「付した」〇

 

3 908Ⅱを根拠に甲社に本件代金を請求できないか。

(1)Cは代表取締役として「不実の登記」がされた

(2)上記の通り、乙社は善意

(3)登記した者とは会社→会社が決定して正式に登記したわけではなく、Cが勝手に登記しただけ。そこで甲社が登記したといえるか。

   →2と同じ →〇

 

設問2

1 甲社は本件慰労金の支払いが無効であるとして、Bに対し不当利得返還請求(703)をすることが考えられる。利得、損失、因果関係〇 では、「法律上の原因」が認められるか。

2 まず、慰労金が「報酬」(361)に当たるか。当たるのであれば、総会決議を経ていないでBに支払っているので問題となる。

→ 趣旨:お手盛防止 慰労金は職務対価の後払いの性質あり + 前例となるのでお手盛防止の点から361の趣旨が及ぶ→報酬に当たる

3 本件では、株式総会決議ないので違法 ㋲退職金の支給は対象が限定されており、常に総会決議を必要とすると退職する取締役のプライバシーが害される。㋞㋐退職金支給に関する合理的な内規があり㋑株主が内規を見ようと思えば見れることができる体制が整えられている場合には、内規に従って支給することを取締役会に一任して支給することは許される。

4 ㋐内規あり ㋒総会決議による取締役会への委任はない。㋲甲社では株式総会は開かれたことがないとい。Aが実質的に甲社を支配していた。→大株主である甲の指示によって総会決議に準ずる委任があったといえる。 ㋑があれば支給できる

 

[感想]

 難易度としては普通ぐらい?設問1は354と908を書く必要があると思うが、当てはめの事情が同じになってしまうのでそれをどう書き分けるか難しい。そして、設問2は、報酬に当たるか?までは普通に書けるけど、その後が難しい。特に、総会決議が開かれたことがないという事情は書く必要があるが、あてはめでどう使うか悩ましい。