司法試験合格を目指す公務員くんのブログ

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令和3年予備試験 行政法 答案構成

設問1

1 Aは本件条件の取消訴訟を提起すべきである

2 本件条件は講学上の付款である。付款は行政行為に裁量がある場合、又は法により付することが認められている場合に許される。本件では14条の4第11項に条件を付けることが認められているので付すことができる

3 取消の対象
本件許可と本件条件を取り消すことが考えられる。では、いずれが妥当か。Aとしては許可を受けたいが、本件条件のみに不満があるので、本件条件の取消を望む。

ア 本件付款が許可と密接不可分である場合は、付款(条件)のみを取り消すことはできず、許可自体の取消をする必要がある。そして、法的安定性の観点から、密接不可分か否かは、条件が無ければ、許可自体が無意味となってしまうような重要な条件と解する

イ Aは本件申請で、事業範囲に積み替え・保管をする為変更申請をした。本件条件、他社搬入・搬出の禁止は、積み替え・保管の一方法、形態の制限であり、許可自体が無意味となってしまうような重要な条件ではない。→密接不可分ではない。→本件条件のみ取消できる。

 

設問2

1 裁量違反(30)

2 本件条件の設定は裁量行為か
14条の4第11項「できる」裁量を有する規定ぶり + 専門技術的 →効果裁量あり

3 Ⓡ 判断の過程、結果に重大な事実の基礎を欠くか、社会通念上明らかなに妥当性を欠く場合裁量の逸脱、濫用(30)で違法

4 信義則違反

ア 行政の行為が、信義則に反する(民1Ⅱ)場合、社会通念上明らかなに妥当性を欠く場合に当たる。具:㋐行政の信頼に基づき行動した㋑行政が矛盾する行動をした㋒損害を被った㋓帰責性がない

イ ㋐事前協議で他社搬入・搬出を目的としている旨明確に伝え、B県と複数回協議をした。Aに対して適当と認める旨の協議終了書通知を送付した。→B県は他社搬入・搬出を認めていた㋑本件条件で他社搬入・搬出を禁止した㋒Aは事前協議での了解を基に他社搬入・搬出を前提とした施設を設置し、多額の費用を投じた。当初予定して事業の予定が著しく阻害されることとなった。㋓Aは真摯に協議していた。他方、B県は事前連絡なしに、一方的に態度を変更した。→信義則違反

5 判断過程審査

(1)本件条件の理由① 他社搬入・搬出により、保管量の増加と保管期間の長期化によりPCB廃棄物等の飛散、流出、異物混入の恐れがある→Z 他社搬入・搬出を受け入れても適切に管理できる施設、管理体制があれば、上記恐れは生じない。→評価の明白な合成の欠如

(2)他社搬入・搬出によって、収集、運搬に関する責任の所在が不明確になる→Z 収集、運搬の段階で、自社搬入・搬出と他社搬入・搬出の廃棄物を明確に分ける仕組みを整備すればよいだけ。むしろ、他社搬入・搬出を認めなければ、従前のA社の様に、業務の遂行が非効率となる。→非効率な業務遂行により、社会的コストが増加、損失につながる。BCP廃棄物収集運搬業全体の効率化、適切な運営の見地から他社搬入・搬出を認めた方がよい。→評価の明白な合理性の欠如

→判断の過程について、社会通念上明らかなに妥当性を欠く→違法

 

[感想]

設問2は頻出の裁量権の問題。これは信義則と判断糧の話を自分の言葉で書けば何とかなるはず。問題は設問1。許可そのものか、条件のみ、いずれを取り消すことになるかに気が付け、「密接不可分」というキーワードを書ければ合格答案になる。自分もそこまでは知っていたが、では、「密接不可分」て何かといわれれば、筆が止まった。適当に規範らしきものを描いてみたが、これで合っているかは自信がない。

 

以上で再現答案の作成は終了。民実、刑実はもう覚えていないので答案構成はしません。5月に司法試験を受けて結果待ちだが、正直、司法試験も予備試験も難しさは変わらないよ。予備試験は基本的な問題で、司法試験は応用もあり難しいという風潮だが、予備試験もめちゃくちゃ考えさせる問題が出るし、他方で司法試験も典型問題普通に出る。試験時間の長さが違うので、問題文の長さや当てはめの多さは当然、違いは出るが、論点のレベルなんかはほぼ一緒だと思う。そう思うと、予備試験合格組は、同じレベルの試験を再度司法試験で解くので合格率が高いのも当たり前。今年の司法試験は、予備試験組は全員短答試験を突破したので、同じく論文も全員最終合格して有終の美を飾りたい。

 

令和3年予備試験 憲法 答案構成

第1 広告物掲示の禁止について

1 本件条例は21Ⅰに反し違憲

2 表現の自由→思想や情報を外部に伝達する自由 広告物によって、営業に関する情報を提供するもの。営利的言論の自由表現の自由に含まれる

3 区域内では広告物の掲示が禁止されるので、制約に当たる

4(1)⤵表現の自由は重要 Z営利的言論の自由は自己統治や自己実現の価値も低め 規制範囲が明確なので萎縮的効果や濫用の恐れも少ない

 (2)規制対応 市長から許可を受ければ例外的に掲示できるが、「単に歴史的な環境を維持するにとどまる広告物」は許可の対象外と極めて厳格な制限であり、実質的に広告物の設置ができなくなる。 + 罰則あり
→規制対応が厳しいので中間審査基準

5(1)目的 →C地区の景観を向上させ、歴史的な環境を維持すること。地域の歴史、伝統の維持は重要。

  (2)手段

  ア 適合性
無秩序な広告の掲示を制限すれば、景観の維持に資する。

  イ 必要性
⤵ 景観を損なわないような色、形状のルールを決め、その中で広告物を認めれば足りる?
Z C地区は江戸時代に宿場町として栄えた歴史的な環境を維持することが目的。→広告物の掲示自体がかかる環境に適さないので、掲示を禁止する必要性あり

  ウ 相当性
良好な景観は地域全体で醸成するもの。良好な景観を創出する為に、一定の表現活動を制限されるのは不可避であり、それによって、良好な景観という公益を達成できる。
⤵ 広告の掲示ができなくなり、表現活動が制限される。しかしながら、かかる制限によって、景観が向上し、C地区の観光客の増加、営業利益の増加という恩恵を受けられる。→制限自体が、自らの利益につながる面もあるので、失われる利益は大きくない→相当

 

第2 印刷物の配布の禁止

1 印刷物によって自己の営業をアピールする。営利的表現の自由(21Ⅰ)により保護される。

2 本件条例によって印刷物の配布が禁止される→制約あり

3 (1)⤵表現の自由は重要 Z営利的言論の自由は自己統治や自己実現の価値も低め 規制範囲が明確なので萎縮的効果や濫用の恐れも少ない。

 (2)規制対応
C地区のみで配布が禁止されるので、他の地域では禁止されない。Z C地区はB市の中でも重要な観光名所であり、観光客が多数訪れる。→C地区で制限されるとなれば、自己の営業をアピールする重要な機会が奪われる。また、C地区では一切の配布が禁止される→重大な規制
→規制対応が厳しいので中間審査基準

5(1)目的 →C地区での無秩序な営利活動を禁止して、歴史的な環境を維持すること。地域の歴史、伝統の維持は重要。

  (2)手段

   ア 適合性
C地区の歴史・伝統とは無関係の各種ビラの配布を禁止することで、景観・環境の維持に資する

   イ 必要性
特別規制区域内の店舗の関係者は配布が禁止されていない。しかしながら、区域外の店舗であっても、C地区の周辺地域として、C地区の歴史、伝統に関与、寄与している店舗はある。そのような者であっても、配布が禁止されることとなり、目的との関係で規制対象が広範すぎる。 他方、特別規制区域内の店舗であっても、C地区の歴史、伝統に関わりが薄い店舗がある。にも拘わらず、そのような店舗は配布が禁止されないこととなり、均衡がとれない。
目的との関係では、配布する者ではなく、配布する印刷物の内容で制限をかけるべきである。よって、より制限的でない他の手段があるので、必要性に欠ける。
違憲

 

[感想]

 問題はオーソドックスな表現の自由の問題だが、意外に考えさせられる問題だった。印刷物の配布の禁止は、特別規制区域内の店舗の関係者は配布が禁止されていない点をどう評価するのか悩んだ。やっぱり憲法は難しいですね。

令和3年予備試験 民事訴訟法 答案構成

設問1

小問(1)

1 Yは共同訴訟参加できるか(52)

(1)「合一にのみ確定すべき場合」とは、①第三者に既判力が生じ、②当事者適格がある場合をいう

(2)ア 本件訴訟は債権者代位訴訟 既判力は115Ⅰ②によりYにも及ぶ〇

   イ 当事者適格Ⓣ(当該訴訟物について当事者として訴訟を追行することができる地位)本件訴訟は債権者代位訴訟であり、代位訴訟は、債権者が債権を保全する為、債務者の被代位権利を行使する訴訟。→かかる制度趣旨からすると、債務者が当事者となることはありえない→当事者適格なし(②✕)

2 できない。

 

小問(2)

1 YはXに対して債務不存在確認の訴えを行うことが考えられる。㋞「訴訟の目的の~第三者」に当たるか

(1)「訴訟の目的の~第三者」とは、参加人の請求と本訴請求が論理的に矛盾していること。そして、請求の趣旨レベルで矛盾していれば足りる。

(2)本訴請求のZからYへの登記請求権 参加人の請求は本件貸付請求権の不存在 表面的には矛盾してない。Z 47 多面的な紛争を矛盾なく合一的に解決すること→合一確定という目的を達成する為広く解すべき
本件訴訟は、債権者代位訴訟であるので、XからYに対して被保全債権が存在することが前提である。㋞すると、本件貸付請求権が存在しているか否以下という点で論理的に矛盾している

2「第三者」に当たる

 

設問2

1 参加的効力

 XはYに訴訟告知している。(53)その結果、Yに参加的効力が及ぶ結果、本件判決の結果がAにも及ぶのではないか(53Ⅳ、46)

(1)訴訟参加(53)は参加できる必要あり(42)本件訴訟は、Y自身の有する債権に関する訴訟。→「法律上の利害関係」あり。→Yは参加できる。

(2)参加的効力の意義
既判力とは異なる(∵一定の内容的制約を伴った既判力を認めることは既判力の本質に反する)そして、㋐敗訴した場合のみ、㋑被参加人・参加人間のみ、㋒判決主文の判断のみならず、判決理由中の判断についても生じる
→Aには参加的効力は生じるが、Yには生じない。
→判決の効果はYには及ばない

 

2 既判力

1 客観的範囲
既判力が生じる対象は、判決主文で示された訴訟物(∵訴訟の迅速化、弾力化)
本件訴訟の訴訟物は所有権移転請求権。請求棄却によって、請求権の不存在について既判力が生じる。Aが訴え提起しようとしている訴訟も本件訴訟と同一の訴訟物、よって、既判力が作用する場面である。

2 主観的範囲
原則→当事者(115Ⅰ①) Z 本件は訴訟担当として債務者であるYにも既判力が生じる。(115Ⅰ②)もっとも、Aは115Ⅰのいずれにも該当しないので、Aには既判力が生じないとも。
しかしながら、債権者代位訴訟で債務者の請求権が存在しないとして、請求が棄却されたにもかかわらず、同一の訴訟物について他の債権者の債権者代位訴訟を認めては、紛争の一回的解決機能が害される。→ 他の債権者についても例外的に既判力が及ぶ。
但し、115Ⅰ②で既判力が及ぶ根拠は、担当者によって手続き保障が代替されていたと解せから。そうすると、債権者の被保全債権が不存在であった場合、代替的に手続き保障がなされていなかったとして、Yに既判力は生じず、その結果、Aにも既判力は生じない。

 

[感想]

 これまためちゃくちゃ難しい。予備試験の過去問は全年度解いたが、民訴は今年が一番難しいと思う。難しすぎて、途中で答案構成作るのやめようかなとおもったレベル。今年は民事系が難しい。この難しさで3問連続3時間半で解かせるのは正に鬼畜レベルの試験。

設問1(1)債権者代位訴訟にける共同訴訟参加の可否なんて全くの未知の問題。(2)も典型事例であるYがZに提訴する場合ではなく、しない場合。これはどう書けばよいのか。答案構成では、無理やりそれっぽいことを書いたが、本番の短い答案構成の時間では何も思いつかなかったと思う。
設問2もこれまで考えたことがない問題。全体的に典型論点が一つもなく、難しすぎるのではないか。試験委員の先生ちょっとやりすぎかも。間違いなく、今年の司法試験の問題よりも全然難しい。

 

令和3年予備試験 商法 答案構成

設問1

 

1 Ⅽは代表権がないので(349Ⅰ)会社を代表する権限がない。→Ⅽが会社を代理して締結した契約は会社に帰属しないのが原則

2 乙社は354を根拠に甲社に本件代金を請求できないか。

(1)Ⅽは「代表取締役副社長」という「会社を代表する権限を有するとものと認められる名称」を名乗った

(2)乙社はⅭが甲社の代表者であると信じた(善意)

(3)「付した」といえるか。

 ア 354は権利外観法理。会社に虚偽の外観作出について帰責性が必要→付した言えるには、会社が虚偽の外観を作出したといえる帰責性が必要

 イ ⤵ 甲社としてはⅭを代表者に選定していない(362Ⅱ③)Bら他の取締役は知らなかった。

   Z 株式の株式8割を持つAは、Ⅽが代表者と名乗ることを了承していた。Cも株式1割を有する。→会社所有者たる株主の9割がCが会社代表者と名乗ることを認めていた +甲社においては、株主総会が開かれたことがなく、役員の選任をはじめ、経営の実質的決定はAが行ってきた。そのAがCを代表者と名乗ることを認めた。 

以上からすると、甲社が虚偽の外観を付与したと評価できる。→「付した」〇

 

3 908Ⅱを根拠に甲社に本件代金を請求できないか。

(1)Cは代表取締役として「不実の登記」がされた

(2)上記の通り、乙社は善意

(3)登記した者とは会社→会社が決定して正式に登記したわけではなく、Cが勝手に登記しただけ。そこで甲社が登記したといえるか。

   →2と同じ →〇

 

設問2

1 甲社は本件慰労金の支払いが無効であるとして、Bに対し不当利得返還請求(703)をすることが考えられる。利得、損失、因果関係〇 では、「法律上の原因」が認められるか。

2 まず、慰労金が「報酬」(361)に当たるか。当たるのであれば、総会決議を経ていないでBに支払っているので問題となる。

→ 趣旨:お手盛防止 慰労金は職務対価の後払いの性質あり + 前例となるのでお手盛防止の点から361の趣旨が及ぶ→報酬に当たる

3 本件では、株式総会決議ないので違法 ㋲退職金の支給は対象が限定されており、常に総会決議を必要とすると退職する取締役のプライバシーが害される。㋞㋐退職金支給に関する合理的な内規があり㋑株主が内規を見ようと思えば見れることができる体制が整えられている場合には、内規に従って支給することを取締役会に一任して支給することは許される。

4 ㋐内規あり ㋒総会決議による取締役会への委任はない。㋲甲社では株式総会は開かれたことがないとい。Aが実質的に甲社を支配していた。→大株主である甲の指示によって総会決議に準ずる委任があったといえる。 ㋑があれば支給できる

 

[感想]

 難易度としては普通ぐらい?設問1は354と908を書く必要があると思うが、当てはめの事情が同じになってしまうのでそれをどう書き分けるか難しい。そして、設問2は、報酬に当たるか?までは普通に書けるけど、その後が難しい。特に、総会決議が開かれたことがないという事情は書く必要があるが、あてはめでどう使うか悩ましい。

令和3年予備試験 民法 答案構成

設問1

 

1 本件ワインの売買契約と本件賃貸借契約は、目的物、契約時期、契約書が異なる→合理的意思解釈として別個の契約

2 本件ワインの売買契約

(1)Aは債務不履行解除を主張(412の2、543)

(2)Bは、本件ワインは種類債権であり、無限の調達義務を負い、債務不履行にはならないと反論する。㋞本件ワインが特定しているかQ(401)
ア 「物の給付をするのに必要な行為」Ⓣ債権者が受領しようとすれば何時でも受け
  れる→本件は取立債務→分離、準備、通知する必要あり

  イ 28日、分離、準備。1日通知→特定している
ウ さらに、私的自治の点から、両者の合意によって特定することもできる。
  本件売買契約で冷蔵庫甲に保管中の乙農園の生産にかかるワイン1万本と合意し 

ているので、特定されている。→Bの反論×

(3)本件ワインは食品として売買された。→飲料に適さない程度に劣化→債務の履行が取引上の社会通念に照らし不能→請求〇

3 冷蔵庫甲の賃貸借契約

(1)Aは解除を主張(616の2、520、543)

(2)Bは、冷蔵庫甲は復旧し、使用には支障がない。→使用収益ができなくなった場合には当たらないと反論

(3)これに対し、Aは、本件賃貸借契約と密接不可分の売買契約が解除された以上、本件賃貸借契約も解除できると再反論。

 ア Ⓡ⤵別個の契約 Z 複数の契約であっても、両者が密接に関連し、社会通念上、いずれか一方の契約を履行しても意味がない場合は、一方が解除されれば、他方も解除できる

 イ 甲冷蔵庫は、本件ワインの適当な保管場所を見つけられなかったAが、適切な保管場所を見つけるまで、暫定的に借りた。→本件ワインの為に借りたので、本件ワインの売買契約と密接不可分→売買契約が解除されれば、保管する者が無く、倉庫だけ借りても意味がない→解除〇

 

設問2

小問(1)

 1 本件譲渡担保は有効か。対象が酒類という集合物であるので、集合物譲渡担保の可否が問題となる

  (1)反論:一物一権主義に反するので、集合物譲渡担保は認められない

  (2)ア 物の一個性は社会通念によって決する。取引通念上、集合物を一個の物として扱う必要性高い。→集合物譲渡担保〇 ㋲取引安全の見地から、対象を特定する必要あり。㋞種類・所在場所・量的範囲によって特定されている必要あり   

     イ 種類→酒類 所在場所→倉庫丙内 量的範囲 →全て 特定〇

  2 有効だとしても、第三者に対抗できるか。

  (1)動産の物権変動の問題。㋞178の対抗要件を備えれば第三者に対抗できる。そして、集合物譲渡担保の場合、集合物全体の引き渡しがあれば、その後に担保の対象となる動産が流入しても、集合物の構成部分となるので、対抗要件の効力が当然に及ぶ

  (2)10月1日に、集合物全体を占有改定(183)により引き渡し(177)している。㋵本件ウイスキー対抗要件も具備されている.

     →Ⅽは主張できる。

小問(2)

 1 Ⅾは代金を完済していないので、本件ウイスキーの所有権はDに移転していない。㋲条項③ Aは転売できるとある。そうすると、譲渡担保契約の対象となったので、所有権が担保権者であるCに移転しているのでは。譲渡担保契約の性質がQ

   →形式的には所有権移転 Z 実質は担保権の設定に過ぎない

   →譲渡担保契約によって所有権は移転しない。そうすると、本件ウイスキーにはCの担保権が及んでいるだけで、DはCに対して所有権を主張できる。

 

[感想]

めちゃくちゃ難い。去年の10倍ぐらい難しいと思った。今回、かなりの時間悩んで書いてみたが、本番の20分でやったら、ほぼ白紙のクソ答案になっていたと思う。自信があるのは、小問1の冷蔵庫の賃貸借契約ぐらいで、他は自信ない。設問1の売買契約は、反論として特定(401)の話を書いたが、書いててなんか違うと思った。でも、他に反論が思い浮かばない。

設問2は集合物譲渡担保。大半の受験生は押さえていないよね。ぶっちゃけ、種類・所在場所・量的範囲の定義と当てはめを書ければ合格答案になるんじゃないの。

令和3年予備試験 刑法 答案構成

第1 甲の罪責

1 本件帳簿をY宅から持ち出した行為が窃盗(235)にあたるか

(1)本件帳簿は甲の所有物であるが、「他人の」といえるか。窃盗罪の保護法益がQ

 ア Ⓡ複雑化した現代社会においては、財産秩序の維持が重要→占有が保護法益。→242により他人の物に当たる

 イ Yが保管(占有)している→「他人の」といえる

(2)「財物」?

 ア Ⓡ財物とは財産的価値を有する有体物。具:その物によって給付を受けられる地位を得られる必要あり

 イ 帳簿は、売上等を記録する帳票。それをもって給付得られることはできないので、財物に当たらない

(3)不可罰

 

2 本件帳簿に火をつけた行為が建造物等以外放火罪(110Ⅱ)に当たるか

(1)ライターで火をつけ、焼損を惹起した。→「放火」した。本件帳簿は燃えたので「焼損」した。

(2)「公共の危険を生じさせた」とは、不特定多数人の生命・身体・財産に危険が生じること。漁網が燃え上がり、5人が煙に巻き込まれた。原付が延焼しそうになった。→公共危険が生じたといえる

(3)甲は故意ある。Z 上記の公共の危険の認識はなかった。そこで、公共の危険の認識が必要かQ
ア 

判例は結果的加重犯であることから不要としている

Z 自己物の放火は本来不可罰→公共の危険の認識は必要㋲公共の危険の認識認識  は、延焼の認識ではなく、一般人から見て不特定多数人の生命・身体・財産に危険が生じる恐れを認識していれば足りる

   イ 甲は防波堤が釣り人に人気があり、釣り人が立ち入ることを知らなかった。漁網、釣り人5人、原付の存在を認識していなかった。→甲は立ち入り禁止で人が入らない防波堤でドラム缶に火をつけた認識しかなく、上記のような公共の危険が発生する認識はなかった。→公共の危険の認識がなく、110Ⅱ成立しない

(4)器物損壊(261)に当たる。

 

3 乙がXを殺そうとしていたのを止めず、立ち去った行為

(1)不作為による殺人、殺人の幇助どちらに当たるか

 ア Ⓡ専ら自己の犯罪は正犯 他人の犯罪に加担したに過ぎない場合は狭義の共犯

 イ 乙が殺そうとしていたのを止めなかっただけで、甲がXを殺そうと何か積極的に行動したわけではない。→狭義の共犯

(2)不作為の幇助に当たるか

ア 幇助Ⓣ→不作為によっても犯罪を容易にすることは可能。㋲処罰範囲→①法的義務②作為の容易性、可能性必要

イ ①息子 保護義務あり(民法730)息子として介護していた、条理上、救助する必要あり。自宅には乙以外甲しかおらず、乙の犯行を止められるのは甲のみ→甲が救助される可能性は甲にかかっていた。→①〇
②乙は女性、止めようと思えば力づくで止めれた→②〇

(3)乙は甲に気づいていなかった。片面的幇助成立?

 ア 幇助Ⓣ→物理的幇助〇 心理的幇助×

 イ 不作為は物理的幇助→〇

(4)後述の通り乙は殺人、甲は嘱託殺人(202)の幇助の意思 いずれの幇助犯が成立するか

 ア 甲の幇助によって、客観的に殺人罪の幇助犯が成立。Z38Ⅱ→殺人の幇助犯は成立しない

 イ では、嘱託殺人(202)の幇助成立するか。軽い故意に対応したTBあるか。

 (ア)Ⓡ 実質的に判断。保護法益や行為態様で重なり合いがあればその範囲でTBあり

(イ)保護法益→生命 行為態様→生命を侵害する。嘱託があったか、なかったかの違い
→嘱託殺人(202)の限度で重なり合いが認められるので。嘱託殺人(202)のTBあり。→嘱託殺人(202)の幇助成立する

 

4 罪数

 

第2 乙の罪責

1 Xを殺害したこと199?

(1)80歳の高齢のXの首を絞めつける→Xの死亡結果を発生させる現実的危険性を有する行為→実行行為〇

(2)Xの殺してくれというのは本心ではない。本心でなければ、「嘱託」を受けたは言えない。

(3)乙はⅩの本心を知っていた。よって、故意の錯誤はない。そして、殺意により、上記行為をおこなった。→Xは死亡→199〇

2 罪責

 

[感想]

文量少ないので、何か論点を落としていそう。難しさとしては去年と同じぐらいかと。Y宅から段ボールを盗んだ点については、書くか迷ったが、文量的にこれを書かないと少なすぎるので本番でも書くかな。でも、帳簿は明らかに「財物」ではないので、否定でいいはず。窃盗以外に外の罪が成立するのかな。思いつかなかった。

勝負所は、放火罪の公共の危険の認識の要否と、X殺害について乙と甲の故意がずれ(錯誤)ていたところの2点だと思う。これに、気づいてそれなりに書ければ合格答案、上位答案を狙える。公共の危険の認識は判例では不要だが、問題文の事情から、必要で書かなければ点は入ってこないと思う。自分も本来は判例と同じく不要で切るが、今回は必要説に立つだろう。ただ、その場合、論証を正確に覚えているかどうか。自分もここは正確には書ける自信がない。
 故意の錯誤については、客観的には殺人の幇助→Z38Ⅱ→故意に対応した202のTBあるかという書き方を覚えていないと厳しいと思う。逆に覚えていればそれになりに書けるのでは。

令和3年予備試験 刑事訴訟法 答案構成

勉強として今年の予備試験の答案構成をしてみました。

基本的には解説は見ずに、論証もその場で思い出して書いています。

 

設問1

1 準現行犯逮捕出来るか(212Ⅱ)

2 Ⓡ ①212Ⅱ該当性 ②「罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるとき」 ③必要性(199Ⅱ、規則143)

(1)①について

声をかけたところ逃げ出した㋵212Ⅱ④に当たる。

(2)②について

ア「罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるとき」とは、㋐逮捕者にとっって被逮捕者が犯人であることが明白㋑時間的場所的密着性 そして、明白性と時間的場所的密着性は212Ⅱ各号との相関関係で決まり、Ⅱ④はもっとも犯人との結びつきが弱いので、高度の明白性、時間的場所的密着性が必要

イ㋐⤵ Pらは犯人を現認していない。Z Vからの証言、防犯カメラの映像で犯人の特徴を掴んでいた。そして、甲は犯人らと特徴が一致していた。また、被害品と特徴の一致するバックを所持していた。㋵㋐が認めらえる

 ㋑V方から約5キロメートル、時間はわずか2時間→時間的場所的密着性強い

ウ 「罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるとき」といえる

(3)③について
Pらは、Vの素性を知らないので、後日逮捕することは困難。強盗傷人は重罪で、同じような事件を起こす可能性あり。→逮捕する必要性がある。

4 適法である

 

設問2

1 本件接見指定は適法か。(39Ⅲ)

2 Rは起訴されていないので「公訴の提起前」である。

3 アⓇ「捜査の為に必要があるとき」とは、捜査の中断による支障が顕著な場合、具:現に捜査中、又は間近い時に捜査の予定がある場合

  イ午後4時50分に弁論録取手続きが終了し、その後、直ちに現場で実況見分を行う予定だった。→間近い時に捜査の予定がある場合といえる。

4 但し書き「防御の準備をする機会を不当に制限」しないか

  ア Ⓡ 趣旨は、弁護人依頼権(憲法34条)と被疑者の身柄を利用した捜査の必要性の調整。そして、本件は初回の接見、初回の接見は、弁護人を選定したり、今後の捜査の進展等についてアドバイスをもらう極めて重要な機会であり、憲法上の出発点。㋞捜査機関は、弁護人となろうと協議して、即時又は近接した時点での接見を認めても捜査に顕著な支障を生じるのを避けることが可能なときは、即時又は近接した時点での接見を認める必要がある。認めなければ但し書き違反

  イ S弁護士午後5時ころ、午後5時30分から接見したいと電話した
Z その時、Pらは、正に実況見分に向かおうとしていた。そして、現場において、甲らが捨てたナイフを発見、押収する予定であった。ナイフは本件事件において極めて重要な物的証拠であり直ちに発見する必要があった。甲は地図で説明することは困難であったから、甲を連れて現場に行かなければならなかった。接見を終えてから出発しては、あたりが暗くなりナイフを発見できない恐れが高かった。㋵接見を認めては捜査に支障が生じていた。
 そして、Rは実況見分が終わった8時に接見時間面してほしい旨述べたが、S弁護士の都合で翌日の午前9時まで接見ができなかった。
 →Rらは、捜査の支障を考慮し、即時又は近接した時点での接見を認めていたので、「防御の準備をする機会を不当に制限」したとはいえない。

5 本件接見指定は適法である

 

以上

 

 

 

[感想]

設問1

 212Ⅱ②「贓物」ってなんだっけ?被害品のことでよいのか迷ったが、212Ⅱ④があるので、無視した。本番では念のため書くか迷うところ。準現行犯逮捕は論証を準備している人は少ないのではないだろうか。論証を用意していないと本番でぐちゃぐちゃになりそう。自分は3つの要件を用意していた。ポイントは、212Ⅱ該当性 →「罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるとき」という順番で書くことで、その際、相関関係というキーワードを書けるかどうか。これは適法でいいと思う。

 

設問2

 接見指定は実務上認められるので、もう試験には出ないと誰かが言っていたが、普通にでてるやん。

ポイントは、「捜査の為に必要があるとき」と「防御の準備をする機会を不当に制限」をきちんと分けること。ここをぐちゃぐちゃにしちゃうと締まらない答案になってしまう。やはり、要件ごとに細かく定義を当てはめて書くとスッキリとして文章になると思う。今回は、「捜査の為に必要があるとき」は簡潔に認定して、「防御の準備をする機会を不当に制限」で勝負するのが正解だと思う。当てはめは、難しいけど、結論はどっちでもいいのでわ。問題文の事情的には適法にする人の方が多いのかな

 設問1、2共に論証をきちんと覚えていた人にとっては簡単だったと思う。やはり、論証、定義の暗記は重要。