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令和3年予備試験 行政法 答案構成

設問1

1 Aは本件条件の取消訴訟を提起すべきである

2 本件条件は講学上の付款である。付款は行政行為に裁量がある場合、又は法により付することが認められている場合に許される。本件では14条の4第11項に条件を付けることが認められているので付すことができる

3 取消の対象
本件許可と本件条件を取り消すことが考えられる。では、いずれが妥当か。Aとしては許可を受けたいが、本件条件のみに不満があるので、本件条件の取消を望む。

ア 本件付款が許可と密接不可分である場合は、付款(条件)のみを取り消すことはできず、許可自体の取消をする必要がある。そして、法的安定性の観点から、密接不可分か否かは、条件が無ければ、許可自体が無意味となってしまうような重要な条件と解する

イ Aは本件申請で、事業範囲に積み替え・保管をする為変更申請をした。本件条件、他社搬入・搬出の禁止は、積み替え・保管の一方法、形態の制限であり、許可自体が無意味となってしまうような重要な条件ではない。→密接不可分ではない。→本件条件のみ取消できる。

 

設問2

1 裁量違反(30)

2 本件条件の設定は裁量行為か
14条の4第11項「できる」裁量を有する規定ぶり + 専門技術的 →効果裁量あり

3 Ⓡ 判断の過程、結果に重大な事実の基礎を欠くか、社会通念上明らかなに妥当性を欠く場合裁量の逸脱、濫用(30)で違法

4 信義則違反

ア 行政の行為が、信義則に反する(民1Ⅱ)場合、社会通念上明らかなに妥当性を欠く場合に当たる。具:㋐行政の信頼に基づき行動した㋑行政が矛盾する行動をした㋒損害を被った㋓帰責性がない

イ ㋐事前協議で他社搬入・搬出を目的としている旨明確に伝え、B県と複数回協議をした。Aに対して適当と認める旨の協議終了書通知を送付した。→B県は他社搬入・搬出を認めていた㋑本件条件で他社搬入・搬出を禁止した㋒Aは事前協議での了解を基に他社搬入・搬出を前提とした施設を設置し、多額の費用を投じた。当初予定して事業の予定が著しく阻害されることとなった。㋓Aは真摯に協議していた。他方、B県は事前連絡なしに、一方的に態度を変更した。→信義則違反

5 判断過程審査

(1)本件条件の理由① 他社搬入・搬出により、保管量の増加と保管期間の長期化によりPCB廃棄物等の飛散、流出、異物混入の恐れがある→Z 他社搬入・搬出を受け入れても適切に管理できる施設、管理体制があれば、上記恐れは生じない。→評価の明白な合成の欠如

(2)他社搬入・搬出によって、収集、運搬に関する責任の所在が不明確になる→Z 収集、運搬の段階で、自社搬入・搬出と他社搬入・搬出の廃棄物を明確に分ける仕組みを整備すればよいだけ。むしろ、他社搬入・搬出を認めなければ、従前のA社の様に、業務の遂行が非効率となる。→非効率な業務遂行により、社会的コストが増加、損失につながる。BCP廃棄物収集運搬業全体の効率化、適切な運営の見地から他社搬入・搬出を認めた方がよい。→評価の明白な合理性の欠如

→判断の過程について、社会通念上明らかなに妥当性を欠く→違法

 

[感想]

設問2は頻出の裁量権の問題。これは信義則と判断糧の話を自分の言葉で書けば何とかなるはず。問題は設問1。許可そのものか、条件のみ、いずれを取り消すことになるかに気が付け、「密接不可分」というキーワードを書ければ合格答案になる。自分もそこまでは知っていたが、では、「密接不可分」て何かといわれれば、筆が止まった。適当に規範らしきものを描いてみたが、これで合っているかは自信がない。

 

以上で再現答案の作成は終了。民実、刑実はもう覚えていないので答案構成はしません。5月に司法試験を受けて結果待ちだが、正直、司法試験も予備試験も難しさは変わらないよ。予備試験は基本的な問題で、司法試験は応用もあり難しいという風潮だが、予備試験もめちゃくちゃ考えさせる問題が出るし、他方で司法試験も典型問題普通に出る。試験時間の長さが違うので、問題文の長さや当てはめの多さは当然、違いは出るが、論点のレベルなんかはほぼ一緒だと思う。そう思うと、予備試験合格組は、同じレベルの試験を再度司法試験で解くので合格率が高いのも当たり前。今年の司法試験は、予備試験組は全員短答試験を突破したので、同じく論文も全員最終合格して有終の美を飾りたい。