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令和2年予備試験 再現答案⑨ 商法

設問1

1 Bについて

(1)損害賠償責任の有無

 「取締役」であるBは甲社に対して、任務懈怠による損害賠償責任を負うか(会社法(以下省略)423条1項)同条の要件は①任務懈怠②故意・過失③損害の発生④因果関係である。

ア 任務懈怠

 Bは乙社と本件買取りを行っているが、利益相反取引に当たらないか(356条1項2号)
「ために」意義が問題となるも、取締役と会社が直接当事者とならない取引は、間接取引によって規律される(356条1項3号)よって、2号の取引とは、会社と取締役が直接の当事者となる取引に適用されると解し、「ために」とは、取締役が自己または第三者の名義で行った取引を指す。そして、Bは自己の名義で取引をしているので、自己のために取引をしたといえる。そして、Bは乙者の株主総会で承認を受けていないので、356条1項2号に違反するという任務懈怠が存在する。なお、Bは乙社の唯一の株主である甲の取締役であるAから了承を貰っている。この点、総株主の同意があれば、総会での承認は不要であるが、あくまでもAから口頭で了解を貰ったにすぎず、甲社から正式に同意を得たといえない。よって、かかる事実によって結論は覆らない。

イ かかる任務懈怠について、Bは少なくとも「過失」があり、これに「よって」乙社は、市場価格の倍で本件ワインを購入するという損害を被った。任務懈怠責任が認められる。

(2)責任追及の方法

ア 追及の方法について、まず、Bは甲社の取締役ではないので、Cは株主代表訴訟を提起することはできない。(847条1項)もっとも、乙社は甲社の完全子会社であるので、847の3条を提起できないか。

イ Ⅽは甲社の株300株を有するので、「6か月前~100分の1以上の議決権を有する株主」である。(同条1項)甲は乙社の完全親会社である。(同条2項1号)そして、親会社である甲社の総資産額は1億円であり、乙社の株式の帳簿価格は3000万円であるので、5分の1を超えている。従って、「特定責任」に当たる。(同条4項)

 よって、Ⅽは847の3条により、責任追及できる。

2 Aについて

(1)損害賠償責任の有無

 Aは甲社の「取締役」である。そして、乙社は、甲社の完全子会社であり、乙社の利益は甲社の利益に直結している。そうすると、甲社の取締役であるAは、子会社である乙社の利益が最大限になるように行動する必要がある。Aは、「改装祝いも兼ねている」とし、Bが本件買取することを認めた。いくら自身の息子といえども、乙社が市場価格の2倍ものワインを購入することは、乙社の利益を著しく害する。よって、Aが本件買取りを認めたことは、経営判断として著しく合理性を欠く行為であり、善管注意義務違反に当たる。(330条、民法644条)よって、善管注意義務違反という任務懈怠が認められる。

 かかる任務懈怠について、Aは少なくとも「過失」があり、これに「よって」、乙社は150万円もの不要な費用を支出することとなり損害が発生し、かかる損害によって、親会社である甲社も間接的に損害を被った。よって、損害賠償責任が認められる。

(2)責任追及の方法

 Aは、甲社の取締役であるので、Cは、株主代表訴訟によって、Aの責任を追及することができる。

設問2

1 甲社の手続き

 甲社は、Cが有する自社の株主を購入するので、自己株式取得の手続きが必要となる。(156条、160条)よって、株式の数量や価格について、株主総会の決議が必要となり、併せて、株主に対する通知等も行う必要がある(158条)また、株式を取得す対価として交付する金銭等を、「丙社株式」とし、Cに丙社の株式を交付することができる。

2 丙者の手続き

 株主を甲社からCに変更する、株主名簿書き換えの手続きが必要となる。

 

以上

 

  • 雑感

 商法も難しかった。設問1のBへの責任追及の方法だが、これは、辰巳の答練で同じ問題を解いたことがあるので847の3を書けた。これ以外にも、ちょくちょく、答練で解いたので分かった問題があった。答練の復習頑張っといて良かった。

 ただ、設問1のAの責任は何を書いたか殆ど覚えっていない。答案構成も残っていなかったので、再現答案は信用出来ません。あと、設問2。これは、自己株式の買い取り(156)であることは気づいたんだが、最初からCと甲社の手続きと勘違いし、実際の答案はボロボロ。実質途中答案になってしまった。これは、ダメダメの答案。